放射線生体影響に関する物理学、疫学、生物学の認識文化の比較分析

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研究者・専門家へのインタビュー(松田尚樹先生)

松田尚樹先生へのインタビュー 5/6

民異分野交流

中尾: この研究の異分野交流のことを結構調べているんですけど、松田先生としては異分野交流をどのようにされているんでしょうか?

坂東: というか、松田先生は基礎的な研究をされていたでしょ。しかも、当時から勃興したお仕事まで広げておられている。まさに分野横断的にな連携を自ら経験しておられた先生だ問う言うべきではないでしょうか。若い人が、今、こうう拡がりを持てと言われた、やっぱり大変だと思いますけどね。

中尾: ご自身の感覚として日常的に異分野の方と関わっている感覚はありますか?

松田: ありますよ。今僕もほぼ仕事的なことしかしていないので、あまり自由な研究的にいろんな人とやるという機会はかなり減ってきているんですけど、昔研究をもっとしていたころは、それこそ渡辺先生とか、そのころ私を指導してくださっていた先生が異分野の共同研究をしないといろんな新しいデータが出てこないので、それを推進しておられましたですね。だから僕もいっとき、気功(一同驚き)、体から「気」をかっと出すのとか、やっぱ異分野なんですけど、そんな人と一緒に研究したこともありました(笑い)。

角山、樋口他: 面白い!それ研究なんですか?それは基本のボキャブラリーからまず習い合わないといけない。

松田: あれは電磁波が出てるんですよ。

坂東: ほんまに出ているんですか?確かに体育の先生が体から電磁波が出ているから調べるとかいっていました。

松田: サーモグラフィーをやっている先生が別にいて、その先生によるとそこだけやっぱり熱くなっているんですよ。僕は細胞でいくつか、そのいろんな刺激を受けて活性化する分子っていうのをいくつか持っていて、それにパッとやってもらって(爆笑)、笑ってしまうけど本気ですからね。

樋口、角山: でも、本気ですからねえ。疑似科学ではないんですね?

松田: 疑似科学ではないんです、まじめにやってましたからね。

小波: 何を測定したんです?

坂東: 電磁波ですか?

松田: 電磁波じゃないです。さーっときたらまずどこ来るかというと、DNAももちろんいくかもしれませんがまずは細胞膜で反応するはずで、そういう電磁波とか紫外線にね。それで細胞膜にいろんなレセプターがあるんですけど、そのうちでそういう外的な刺激に反応しやすいレセプターがいくつかあって、タイロシンカイネース型のレセプターとか、そこから出てくるシグナルがいくつかあってそれを調べてたんですよ(一同「へえー!」)。

板東: ほな、なんで熱くなったりするんですか?

松田: わからへん。だから僕の見ていた分子では説明ができない(笑)。

角山: その分子はガンマ線とかではどうなんですか?

松田: もちろん反応します。特に紫外線によく反応します。

小波: むしろそれはどのニューロンが発火したのかというのか、脳の中を捕らえる方法なんですね。

松田: そうですね。

中尾: エネルギー医学という分野があって、そういう領域をやってますよね。学会があるかは知らないけど、教科書にはありますね。日本にもありますけど、19世紀のドイツやヨーロッパでもやってます。

角山: もう、異分野交流が過ぎますね(笑)。

小波: それまでのものを読み替える必要があるかもしれないですね。最近の脳とか神経系に関するところでね。

坂東: いやそう思うわ。それでどの神経系がどう動くかとかホルモンがどう動くかとかね。

角山: 異分野交流は積極的にされていると思います。この前のワインセミナー(松田先生らが年1回開催)だってあれ異分野交流ですよね(笑)。

松田: 神戸ワイン城シンポジウムって正しくは言うんですけど、神戸にワイン城ってあるじゃないですか。神戸ワインを作っている神戸農業公園というのかな、昔そこに宿泊施設があったんですね、そこに集まって15人ぐらいで一泊二日で研究会していたんですよ。まあほとんど飲み会なんですけど。

角山: みんな酔っ払いながらね、自分たちのテーマの話をするんです。まあ生物系が主軸で共通言語は生物系なんですけど、全く違う材料でまったくちがう対象で、えらい熱く議論するんです。

松田: あれは元々僕もそうだけど、サンスターの元研究の仲間内で始めて、サンスターは口の中もそうですけど、シャンプーとか化粧品も作っているので、領域としては口の中だけじゃなくて皮膚とか毛髪とか結構そういうターゲットで研究している人がいるんですね。みんなそれぞれ会社をやめて好きなことをあちこちでやっている人が多くて、それを集めて近況報告も兼ねて、研究会みたいなのをやるといろんな分野が来る。

坂東: やめた人だけですか?

松田: いや、残っている人ももちろん来てもらってやりますね。
で、行った先で先生になって、ちょっとそれじゃ自分とこの学生をと、連れてきたりするので、すごくいいトレーニングになるんです。生物屋の中での異分野交流は大事なんで、生物屋って材料で閉じこもるんで、その壁をとっぱらって、異分野交流するんです。

角山: 先生、物理屋さんとかとの交流はどうですか?疫学はあるんでしょうけど。

松田: 物理屋さんないですね、特に関係(交流)がないですね。

角山: 疫学はあるんでしょうけれども、測定系とかどこかと一緒にとかないんですか?測定するほうとか、装置のメーカーとか。

松田: 今ここで客員教授していただいているのが弘前大学の床次先生(床次眞司 弘前大学医学部保健学科教授)なんですけど、彼にはいろいろと測定の何かがあれば床波さんに相談していますね。遠いですけど学部としてもそんな人はいないのでね。凄く遠いところから来ていただいてね。彼は測定屋さんだからうちにはないものだし、学部としてもそんな人いないので、客員教授になってもらって、遠いのでセミナーとかでも丸一日かけて来てもらってます。


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