放射線生体影響に関する物理学、疫学、生物学の認識文化の比較分析

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研究者・専門家へのインタビュー(澤田哲生先生)

澤田哲生先生へのインタビュー 第1回 4/5


次世代育成への挑戦

澤田 あのね、うちの大学(東工大)に、早野龍五さんが福島高校と一緒にいろいろやっていたときに一番能くできた生徒が入ってきているんですよ。生命理工関係にね。

坂東 すごいですね。こうした経験を持つ若い世代が大学生になり、そして日本をリードしていってくれるといいですね。BER2018では、ポスターセッションもあり、高校生や大学生も申し込み可能です。

澤田 福島高校の担当した先生は、たしか今年いっぱいで定年なんですよ。この先どのようになっていくのかはやや気がかりです。高校生などは先生の指導方針によって影響されますから。

坂東 高校生セッションに福島高校来てくれるみたいですよ。だから澤田さんもポスターセッションなんかでやってください。また、こうした研究が、市民とどうつながるのかという視点から、前の日にプレシンポジウム「我々は福島から何を学んだか―市民と科学者の対話―」という国際市民フォーラムも行います。この主たる推進者は、女性科学者たちです。今京都の女性が元気なんですよ。医療関係は特にたくさん仲間がこられています。

澤田 こないだのサロン・ド・科学の探索(※)にも女性が半数以上いましたね。しかも若い女性が!

※ NPO法人知的人材ネットワークあいんしゅたいん主催のサロン、松田卓也博士(1ページ目に記述)の講演の回こと

坂東 みんな若いんですよ。なぜかというと、鶏会(ニワトリ会)というのが京大にあって、一週間に一回ランチ会をあいんしゅたいん事務所でやっているんです。そこには、子どもをもっていてもものすごく頑張っている人たちが集まっています。もっとも結婚していなくても、子供がなくとも参加は自由ですけど、中心がそういうお母さん方です。

澤田 それ一度様子を見させてくださいよ。

坂東 いつでも!遠慮なくお越しください。たまに男性もいらっしゃいます。お弁当を食べながら、おシャベリするだけですけどね。でも、その中で話しているうちに、議論が実ったり、何かやろうという企画がまとまったり・・・。それの結果が、国際市民フォーラムです。みんな、忙しいはずですが、ものすごくよく動きはるんです。ホームページも自分で作るし申し込みも作るしね。すごいんです。みんなが、「自分ができること」で協力しようという意気込みがあふれているのですね。シンポジウムやサロンをやっていると、いろいろな興味を持つ人が集まってきて、知らない間に共同研究に発展したりするんです。3・11直後始まった講演会シリーズで来られたのが、例えば真鍋さん(※)で、すぐ意気投合して研究を始めるというような例になったんですね。

※ 真鍋勇一郎 大阪大学大学院工学研究科 助教

澤田 彼も実験とかいろいろな学務に携わっていて忙しそうでしたよね。いいセンスがあるので、それが活かされるテーマですよね。

坂東 そうなんですね。今は、このプロジェクトにとってなくてはならない人で、中心になって頑張っておられますよ。分野横断型研究が学振委員会(※)として認められてこれで3年目になりますが、その主催で今回の国際会議も開くことができるようになったともいえます。でも、次につなげて、さらに発展させたいと思うと、産業界との連携が必要で、グレードアップした会議にしようと思うと、物理屋にはなかなかそういう才能がなく、四苦八苦しています。まあそんな感じで。何か私のほうの話になってきてしまいましたね。

※ 日本学術振興会研究開発専門委員会「放射線の生体影響の分野横断的研究」(2016年10月1日~2019年9月30日)

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