放射線生体影響に関する物理学、疫学、生物学の認識文化の比較分析

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研究の概要:調査グループ

社会調査グループ

代表者:坂東
研究分担者:尾上、中尾、角山、真鍋、和田
研究協力者:樋口、小波

放射線の生体影響の研究に従事している物理学、分子生物学、疫学研究者に対するアンケート調査の実施をしています。

まず、質問票の作成を行います。
特に、1) 各分野の構造(例:ネットワーク型かヒエラルキー型か)を明らかにすると共に、2) 研究や現場における分野間関係、3) 研究組織、学会、審議会等における各分野の構成比率、そして4) 各分野と社会的利害の関係を把握できる設問とします。具体的には、以下の6項目を重点的に調査することを予定しています。

  • 研究者個人:専門分野、所属、学会、評議会の経験等
  • 研究共同体:共同研究・執筆の状況、研究室内外での人間関係等
  • 研究環境:研究室空間、時間、設備、予算(規模、出所など)等
  • 分野全体:放射線の生体影響に関する研究を扱う学会・雑誌の状況
  • 各分野における中心的関心や課題の抽出(キーワードの自由記述)
  • 放射線被ばく問題における論点に対する見解(半構成的記述)

質問票の作成に際しては、参与観察Gと歴史研究Gの予備調査で得られる定性的知見を最大限に活用します。続いて、20例程度のプレテストを実施して質問票の妥当性を評価し、さらなる改善を図ります。

参与観察(アンケート調査)グループ

代表者:坂東
研究分担者:中尾、真鍋、和田、角山
研究協力者:樋口、中島、田中

放射線の生体影響の研究に取り組む各分野の研究室の訪問調査をしています。

3分野の参与観察の予備調査を以下の2つの方法で行います。①物理学については、坂東、真鍋、和田が自身の日常の研究活動と研究室の動き、そしてジャーナルへの投稿や学会発表における経験(レフリーや会場とのやりとり等)を記録・整理します。また、本研究に参画する分野外の研究者(中島、角山、中尾、樋口)の研究室訪問を受け入れます。②分子生物学と疫学については、それぞれの国内研究拠点(実験は環境科学技術研究所:青森県六ヶ所村、電力中央研究所:千葉県我孫子市、疫学は放射線影響研究所:広島市、放射線疫学調査センター:東京都千代田区)を坂東、真鍋、和田のうち2名と訪問先の分野に該当する研究者(分子生物学:中島、角山、疫学:田中)のうち1名の計3名が訪問し、研究者から聞き取りを実施します。

歴史研究グループ

研究分担者:中尾
研究協力者:樋口

広島・長崎の被爆者調査と日本の放射線防護基準策定における各分野の関与に関する調査をしています。

日本における放射線の生体影響の研究(広島・長崎の被爆者調査)とその社会的応用(放射線防護基準の策定)について予備的な史料調査を行います。具体的には、中尾と樋口がそれぞれアメリカを訪問し、科学アカデミー公文書館とテキサス医療センター図書館に所蔵されている原爆傷害調査委員会(ABCC)文書の史料を精査・収集します。


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